ピアノで演奏する女性作曲家の美しい作品5選
何世紀にもわたって、クラシック音楽は男性が優位でした。古典派の時代には、女性が作曲することは不適切だと考えられていたため、女性作曲家は男性と同じような機会を与えられず、作曲を思いとどまることがよくありました。このような状況にも関わらず、女性作曲家による多くの素晴らしいクラシック作品が遺されています。この記事では、そんな女性作曲家たちが書いた楽曲をご紹介しますので、どうぞお楽しみください!
1. クララ・シューマン:Notturno in F major, Op. 6, No. 2
▶️ Notturno in F major をピアノ独奏で演奏しましょう
クララ・シューマン(1819-1896)は、19世紀を代表するピアニストであり女性作曲家ですが、夫である作曲家でピアニストのロベルト・シューマンの影に大きく隠れていました。当時、女性は家にいるのが当たり前で、彼女自身も「女性は作曲を望んではいけない、それを可能にした人はまだ一人もいない」と言っていました。そんな葛藤を抱えながらも、彼女はそれを乗り越え、ロマン派を代表するピアニストとなり、さらには記憶を呼び覚まし演奏するという概念をも編み出しました。
作曲の面でも、協奏曲から歌曲まで、さまざまな作品を生み出しました。ピアニストとしては、わずか16歳で書いた 音楽の夜会(1836年)という作品集を含め、ピアノのための多くの作品を遺しています。2つ目の作品 Notturno in F major は、ABA形式のゆったりとした楽曲です。左手で素晴らしい伴奏を奏でながら、右手が美しく叙情的なメロディーを奏でます。若くして、こんなにも感動的な作品を書いたことに非常に驚かされます。現在では、クララ・シューマンは最も有名な女性作曲家の一人とされています。
Tomplayで Notturno in F major, Op. 6, No. 2 をピアノ独奏で演奏してみましょう。中級レベルに設定されています。この才能ある女性作曲家の作品をもっとご覧になりたい方は、こちらのコレクション ピアノで演奏する最も美しいクララ・シューマン作品集 もご利用ください。
2. エイミー・ビーチ:ロマンス Op. 23
▶️ ヴァイオリンとの二重奏で Romance をピアノで演奏しましょう
エイミー・ビーチ(1867-1944)は、19世紀のアメリカの女性作曲家でありピアニストで、さまざまな方法でクラシック音楽の壁を破りました。たとえば、アメリカの女性作曲家として初めて交響曲を作曲し出版しました。そして、作曲だけでなく、ピアニストとしても才能がありました。音楽界に与えた彼女の影響は画期的で、史上最も尊敬に値する作曲家として、または有名なアメリカの女性作曲家の一人として見なされるまでになりました。
ビーチはヴァイオリニストのモード・パウエルと親交があり、1893年に作曲した ロマンス Op. 23 はパウエルに捧げられました。この曲はヴァイオリンとピアノのために書かれており、2人の友人は同じ年にシカゴでこの曲を一緒に演奏しました。この原曲版は、2人の奏者に技術的なスキルと、音楽表現を通して感情を伝える能力が要求されます。ピアニストにとっては、これに加えフレージングとペダリングが取り組むべき大切な要素です。
ヴァイオリンとの二重奏で ロマンス Op. 23 のピアノを披露しましょう。
3. セシル・シャミナード:La Lisonjera (The Flatterer/へつらう女) Op. 50
▶️ La Lisonjera (The Flatterer/へつらう女) をピアノ独奏で演奏しましょう
3人目の女性クラシック作曲家は、セシル・シャミナード(1857-1944)です。裕福な家庭に生まれた彼女は、幼い頃から音楽の才能を発揮し、特にピアノを得意としていました。彼女は、カミーユ・サン=サーンスやジョルジュ・ビゼーなどを含む、他の作曲家や家族の友人など、周囲の人々に奨励され、後に女性作曲家として初めて、フランスの最高勲章であるレジオン・ドヌール勲章を授与されました。彼女の作品には、ピアノ作品、サロン音楽、管弦楽組曲などがありますが、特にアメリカでは前者の2つがより有名です。
19世紀末、シャミナードはピアノのために La Lisonjera (The Flatterer/へつらう女) Op. 50 を作曲しました。右手の低音部でメロディーを奏でる美しいセレナードです。テンポの変化、混合拍子、スタッカートとレガートなど、興味深い要素がたくさんあります。
Tomplayで La Lisonjera (The Flatterer/へつらう女) Op. 50 をピアノ独奏で演奏しましょう。中上級レベルに設定されています。
4. ファニー・メンデルスゾーン:夜想曲 ト短調
ファニー・メンデルスゾーン(1805-1847)もまた、兄である作曲家フェリックス・メンデルスゾーンの影に立たされた女性作曲家です。ファニー・メンデルスゾーンは、ピアニストとしても作曲家としても才能がありましたが、兄の名前で作品を発表することを余儀なくされました。当時、女性の役割は多くが家庭内のものであり、仕事ではなかったこと、さらに彼女が作曲家としてキャリアを積むことに対しての父親の反対もありました。
これだけの障害にも関わらず、彼女は兄の名前で460以上もの作品を書き上げました。その多くは、現在では彼女の作品として改められ、最も有名な女性作曲家の一人となっています。彼女は言葉のない歌(無言歌)を多く作曲しましたが、後にそれ自体が一つのジャンルとなりました。それらは、歌曲の一つの形式で、短くて叙情的なピアノ作品です。2017年3月8日、国際女性デーを記念し、これまで彼女の兄が書いたとされていた作品が、本当の作曲家であるファニー・メンデルスゾーンの名のもとで初めて演奏されました。この作品のタイトルは イースター・ソナタ です。
夜想曲 ト短調 は、1838年に書いた1楽章の作品です。8分の6拍子で、左手の伴奏が軽快な印象を与えることから、バルカローレ(ベネチアの舟歌)のスタイルで作曲されています。
夜想曲 ト短調 はピアノ独奏で演奏していただけます。中上級レベルに設定されています。
5. ルイーズ・ファランク:25のやさしい練習曲 Op. 50 - 第2曲 イ短調
今回最後に取り上げる女性作曲家は、パリであらゆる芸術分野で活躍する女性たちに囲まれて育ったフランス人女性、ルイーズ・ファランク(1804-1875)です。幼い頃からピアノを弾き、15歳の若さでパリ音楽院で作曲を学び始めました。コンサートピアニストとして、また作曲家として名を馳せ、やがて音楽院のピアノ講師に任命されます。この地位はヨーロッパで最も権威のあるもので、実際、彼女は19世紀全体で任命された唯一の女性講師でした!
ファランクは、管弦楽曲や合唱曲からピアノ作品まで、およそ50曲を作曲しました。ピアノ講師としての彼女の練習曲は非常によくできており、ピアノのレパートリーとして重要な作品となっています。25のやさしい練習曲 Op. 50 は、簡単な練習曲を集めたもので、アマチュアのピアニストにぴったりです。各練習曲にはそれぞれ特定の技術的スキルに焦点を当てており、第2番 練習曲 イ短調 は、8分の6拍子で正確に演奏するための練習曲です。そして、左手の軽快な伴奏と美しいメロディが特徴的な作品となっています。
ルイーズ・ファランクの 25のやさしい練習曲 Op. 50 - 第2曲 イ短調 をピアノ独奏で披露しましょう。初中級レベルのピアニストの方向けの作品です。
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