ヴィオラで演奏する8つの素晴らしい楽譜
16世紀から17世紀にかけて、“ヴィオラ”という言葉は弓と弦楽器全般を指す言葉として使われていました。今日私たちが知っているような素晴らしい楽器として認識されるようになったのは、18世紀になってからのことです。ヴァイオリンより少し大きく、弦高が低いヴィオラは、ヴァイオリンよりも豊かで温かい音色を奏でます。この素晴らしい楽器にスポットを当て、初心者向けのヴィオラの楽譜から難易度の高いものまで、私たちのお気に入りのヴィオラ作品をいくつかご紹介したいと思います。これらの作品は、ヴィオラ独奏用または、オーディオ伴奏付きでご利用いただけます。
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1. 『ハウルの動く城』- テーマ曲「人生のメリーゴーランド」
▶️ 久石譲の『ハウルの動く城』- テーマ曲「人生のメリーゴーランド」をヴィオラで演奏しましょう
久石譲は最も有名なアニメ作曲家の一人です。彼の唯一無二の音楽スタイルは、多くのアニメーション映画、特に、伝説的な宮崎駿監督が手掛けるシーンを彩っています。この象徴的な二人組は、全世代の日本のアニメの見方を変えました。
2004年、この2人は映画『ハウルの動く城』を手がけます。物語は、少女ソフィーと魔法使いハウルを中心に展開していきます。彼らは素敵な関係を築き始めますが、邪悪な魔女がソフィーに魔法をかけ、老婆に変えてしまったことから、2人の関係は試されることになります。ハウルは呪いを解くために魔女と戦わなければなりません。
映画のテーマ曲は、人生の浮き沈みを映し出す楽しいワルツ「人生のメリーゴーランド」です。叙情的な旋律と、変化する雰囲気が特徴で、音楽的な表現に取り組むのに最適な作品です。
Tomplayでは、『ハウルの動く城』より、久石譲の「人生のメリーゴーランド」を初中級レベルでご用意しております。このヴィオラ楽譜は、ピアノとの二重奏または、ヴィオラ四重奏の一部としても演奏していただけます。
2. モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための12の二重奏曲 K. 487
▶️ モーツァルトの「ヴァイオリンとヴィオラのための12の二重奏曲 K. 487」を演奏しましょう
次に紹介する作品は、実際はコレクションですが、どの作品も素晴らしくいため、1つだけを選ぶのは不可能と言っても過言ではありません。
1786年、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトは、フランスのホルン奏者の巨匠である友人のイグナーツ・ロイトゲープに触発されて、フレンチホルンのための曲集を書きました。この曲集は「12のホルン二重奏曲」と名付けられ、フレンチホルンのレパートリーの中でも定番の美しい作品です。その後、このコレクションはヴァイオリンとヴィオラを含む、さまざまな楽器のペア用に編曲されました。
Tomplayのモーツァルトのコレクション「ヴァイオリンとヴィオラのための12の二重奏曲 K. 487」をご覧ください。初中級レベルに設定されており、各曲をヴァイオリンのパートとの二重奏で演奏していただけます。
3. ジョン・ウィリアムズ:『シンドラーのリスト』のテーマ曲
▶️ ジョン・ウィリアムスの『シンドラーのリスト』- テーマ曲 を演奏しましょう
映画『シンドラーのリスト』は、スティーヴン・スピルバーグが監督し、1993年に公開されました。その感動的なストーリー、素晴らしいキャスト、全体的な映画のスタイルにより、史上最高の映画のひとつに選ばれています。第二次世界大戦中、ホロコーストから何千人ものユダヤ人の命を救ったドイツの実業家を題材にしています。
このような重要な映画には、物語の悲惨な性質を伝えることができる作曲家が必要でした。そして伝説的な作曲家であるジョン・ウィリアムズはその役目として適任でした。ウィリアムズは、初めてこの映画を見た後スピルバーグにこう伝えました。「これは本当に素晴らしい映画です!私よりも優れた作曲家が必要です。」それに対しスピルバーグはこう答えました。「わかっている!しかし、皆すでに死んでいるのだ!」
作曲家として素晴らしい才能と経験を持つウィリアムズですが、『シンドラーのリスト』のテーマ曲を作曲することはそう簡単ではありませんでした。映画の悲劇的なストーリーを音楽で描写する為には、感情とシンプルさ、どちらにも偏らないバランスが重要でした。そこでウィリアムズはクラシックの曲を書くことを選択し、ヴァイオリニストのイツァーク・パールマンに演奏を依頼しました。彼はこの作品でアカデミー賞の作曲賞を受賞しています。
ヴィオラは、『シンドラーのリスト』のテーマ曲を演奏するのに最適な楽器でした。メランコリックなゆったりとした曲で、ヴィオラの深く豊かな音色が伴奏と見事に調和しています。
Tomplayでは『シンドラーのリスト』- テーマ曲をオーケストラと一緒に演奏していただけます。この曲は、簡単なヴィオラ楽譜と、より難易度の高いレベルの楽譜でご用意しております。また、オーディオ伴奏のトラックをミュートすることにより、ソロ・ヴィオラとして演奏していただくこともできます。
4. バッハ:組曲 第1番 ト長調 BWV 1007 (ヴィオラ編曲版) - 第1曲 プレリュード
▶️ バッハの「組曲 第1番 ト長調 - 第1曲 プレリュード」を演奏しましょう
バッハの「チェロ組曲」は18世紀に書かれたにもかかわらず、1825年に再発見され出版されただけで、20世紀まで高く評価されることはありませんでした。しかし、13歳のスペインのチェリスト、パブロ・カザルスがこの組曲の古い写しを見つけ、彼がそれに魅了され全ては変わりました。カザルスは作品を習得し、人前で演奏するようになり、数十年後には録音もしました。カザルスのおかげで、この組曲は公の場で演奏されるようになり、史上最も影響力のあるチェロ作品として確固たる地位を築くことができたのです。
最も人気のある組曲は、最初の「組曲 第1番 ト長調」です。プレリュード、アレマンド、クーラント、サラバンド、メヌエット1&2、ジーグの6つから成る作品です。プレリュードは揺れ動くような音のパターンを作るアルペジオの和音で構成された傑作です。バロックのチェロ作品の醍醐味といえる作品です。
5. アルゼンチンの作曲家 アストル・ピアソラ:「Cafe 1930」
アストル・ピアソラはバンドネオンの達人であり、作曲家としての彼のユニークなスタイルは伝統的なタンゴに革命をもたらしました。彼はしばしば、伝統的なタンゴにジャズとクラシックの影響を加え発展させたnuevo tangoの創設者と呼ばれています。
1985年、ピアソラはフルートとギター(このタンゴが最初に演奏されたときの楽器)のための「タンゴの歴史」という4楽章の作品を書きました。彼の目的はこの踊りの歴史と進化を聴衆に伝えることでした。「Cafe 1930」は、この作品の第2楽章です。もともとタンゴの音楽は踊りに合わせて元気のある速いものでしたが、1930年頃、人々が聴いて楽しむことができるような、よりゆっくりとロマンティックなスタイルに進化していきました。「Cafe 1930」が伝えるタンゴの歴史の一端はここにあります。
Tomplayの「Cafe 1930」のヴィオラ編曲版は、ギターとの二重奏ですが、ギターパートをミュートすることで、ソロ・ヴィオラの楽譜として演奏していただくことも可能です。レガートとスタッカートの急激な変化や、リズミカルなテクスチャーのミックス、そして作品の音楽的表現力など、さまざまなテクニックと挑戦を必要とします。
6. ラフマニノフ:14の歌曲集 Op.34 - 第14曲 ヴォカリーズ
セルゲイ・ラフマニノフは、ロマン派後期の最も偉大な作曲家の1人と評されています。1912年の夏、彼は「14の歌曲集 Op.34」のコレクションを完成させました。最初の13曲は歌詞が含まれていますが、最後の曲「ヴォカリーズ」には歌詞がありません。歌詞を持たないという彼の選択を批判する人もいれば、歌詞の欠如が作品自体をより迫力のあるものにしていると感じる人もいました。それについて聞かれたラフマニノフは、「音楽は、言葉よりも、自分の考えを伝え表現するものだ」と答えました。
もともとは歌とピアノのために書かれましたが(歌手は旋律を歌うために1つの母音を選択します)、今日では声ではなく別の楽器で演奏されることがよくあります。ラフマニノフ自身もこの作品を管弦楽用に編曲しています(1915年)。この作品は非常に表現力豊かで、大きな喜びと深い悲しみの両方が伝わってくる素晴らしい作品です。
Tomplayでは「14の歌曲集 Op.34 - 第14曲 ヴォカリーズ」をソロ・ヴィオラや、ピアノパートの高音質録音と一緒に演奏していただけます。このヴィオラ楽譜は中上級レベルに設定されています。
7. 映画『ミラベルと魔法だらけの家』より「We Don’t Talk About Bruno (秘密のブルーノ)」
▶️ 大ヒット映画『ミラベルと魔法だらけの家』より「秘密のブルーノ」を演奏しましょう
何十年にわたり、ディズニーは何百万もの人々の生活に触れてきました。ウォルト・ディズニー・カンパニーは、1923年にウォルトとロイ・O・ディズニーの兄弟によって設立されました。会社が始まって以来、彼らは何百ものディズニー映画を制作してきました。ディズニー映画で最も重要な要素の1つは音楽です。そしてそれはまさに魔法です。それぞれの曲は映画のために特別に作曲されており、それ故に、唯一無二なものになっています。
ディズニー映画『ミラベルと魔法だらけの家』は、2021年に公開された、エンカントに住むミラベルとその家族の物語です。ミラベルを除いて、家族の皆が魔法の贈り物を持っていますが、ミラベルは魔法が危険にさらされている可能性があることを知り、それを止めようと試みます。ブロードウェイの伝説と名高いリン=マニュエル・ミランダが書いた音楽も影響し、映画はすぐにヒットしました。この曲は英語とスペイン語の両方で歌われています。
「秘密のブルーノ」は、家族が演奏する、ラテンポップとサルサの曲です。この曲のユニークな点は、各メンバーが歌うにつれて、それぞれのキャラクターに合わせて音楽のスタイルが変化していくところです。
「秘密のブルーノ」の簡単なヴィオラ楽譜と、中級レベルの楽譜をご覧ください。このアップビートな曲は、オーケストラの伴奏と一緒にヴィオラで演奏することもできますし、伴奏をミュートしていただき、ソロ・ヴィオラの楽譜として演奏していただくことも可能です。
8. ラミン・ジャヴァディ:『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』- メインテーマ
▶️ 大ヒットTVショー『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』のメインテーマを演奏しましょう
『ゲーム・オブ・スローンズ』は、ジョージ・R・R・マーティンの小説(『氷と炎の歌』)を原作としたアメリカのTVシリーズです。この中世ファンタジーの物語は、そのリアリズムと、実際の歴史的な出来事、場所、人物からインスピレーションを得ていることで知られており、世界中で大成功を収めています。
このシリーズは大ヒットし、2022年には『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』というタイトルの前日譚が公開されました。『ゲーム・オブ・スローンズ』の200年前を舞台に、ターガリエン家に焦点をあてた作品です。
どちらのシリーズも、ラミン・ジャヴァディが書いた同じテーマ曲を使用しています。ジャヴァディが、この作品でチェロをショーの主役に選んだのは、そのダークな響きがショーの暗い物語を反映していたからです。長調と短調の間を行き来する構成は、予測不可能で常に変化するこのシリーズの筋書きを見事に表現しています。
ヴィオラの豊かな響きは『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』- メインテーマを演奏するのにも最適な楽器です。お届けしている簡単なヴィオラ楽譜は複数の難易度からご利用可能ですので、初心者でも上級者でも、この象徴的なテーマ曲の演奏をお試しいただけます。
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